大阿蘇 三好達治の世界に魅せられて
昭和11年~12年に阿蘇を訪れて作詩された。
雨の中に馬がたっている
一頭二頭仔馬をまじえた馬の群れが 雨の中にたっている
雨は蕭々と降っている
馬は草をたべている
尻尾も背中も鬣もぐっしょり濡れそぼって 彼らは草を食べている
草を食べている
中略
もしも百年が この一瞬の間にたったとしても
なんの不思議もないだろう
雨が降っている
雨が降っている
雨は蕭々と降っている
私が、この詩に出合ったのは、中学の国語の教科書だったと思うが、その時の印象は強く残っている。
雨が蕭々と降っているという言葉の反復が、それ以来、脳に焼き付いて離れない。
33歳で、阿蘇を訪れたときのことである。詩に謳われている草千里は健在だった。晴れていたが、もし、雨が降っていたらと、想像力を掻き立てられた。
その、情景は、確かに永遠に続くかに思われた。
そこに、昨年の4月14日からの最大マグ二チュ-ド7.3の熊本地震である。
呼応するかのように阿蘇山が小噴火した。
今でも、余震は続き、地元の生活は、破壊されている。
達治の詠んだ草千里の情景はなくなってしまうのだろうか。
百年経っても変わらないと謳われている、馬の濡れそぼった姿。
ひたすら、草を食み、雨を無視するような、力強い生命力。
自然災害により破壊された環境でも、変わらずにいてほしい。
私は願う。変わらぬ、草千里を。馬を。その情景を。
雨が降っている。馬は草をたべている。雨は蕭々と降っている。
*蕭々(しょうしょう) もの寂しい様子
*鬣(たてがみ)
大阿蘇の詩全文サイト「今日の名文 NO.109」」
http://www.coara.or.jp/~shuya/meibun/bun-E/meibun-109.htm
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