剛力彩芽主演でテレビドラマ化された小説である。
ドラマでは、第4巻の母親智恵子と別れるところで終わっていた。
第一話「彷書月刊」で志田の過去が暴露される。
第二話「ブラックジャック」では手塚治虫のはぐれ医者の物語が登場する。
第三話「われに五月を」では、智恵子との再再会がある。
エピローグでは、五浦大輔への栞子の告白もある。
この小説のポイントは、栞子である。眼鏡をかけた長髪のおとなしい古書堂の主人である。
そして、冷静沈着で、策略家で、母親智恵子の存在は、脅威でもある。
母は娘に諭すように言う。「あなたなら他人の心の奥まで読むことができる。そういう人間には愛というものを自分自身で味わう必要はないわ。ただ知識の一つとして蓄えればいい・・・中略・・・人の感じること、思うことはすべて、読むものでしかないのよ」
智恵子の意見は、とても傲慢に聞こえ鼻持ちならない。
ピカソの言葉が、脳裏に浮かんだ。「恋愛など、芸術に比べれば取るに足りない。」
恋愛は個人的な感情であり生き方であるから十人十色であり、恋愛観に口をはさむことは本意ではない。でも、それを凌駕して、取るに足りないといわせる、ピカソの生き方は、天才として余すところなく、存在感を表現している。
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