イケメン美容師松田龍平にシャンプーしてもらうえびすけ
夢見心地かと思いきや、意識し過ぎてちっとも楽しくない
(基本的に間違ってる)
頭の形だのデカさだの重さだの気になっちゃって
おちおち重心もかけれない
この美容室の洗髪台は、背もたれが45度ぐらいに倒れた椅子というよりベッドという感じ(椅子を倒すタイプじゃないやつ)なので
寝た姿勢にならないからベロ~ンと顔が巨大化する事はない
(当社比)
振り向いた事はないからわかんないけど
察するに洗髪台を首の後ろにガコンと合わせて洗う
(ガコン)
「苦しくないですか?」
えぇ、あなたを見てると苦しいです
と返すわけにもいかないので
普通に『大丈夫です』と答える
(当たり前)
洗ってもらってる間はまぁつつがなく
(当たり前)
流す時…
後頭部を流すのに片手で頭を支えて片手でシャワーをあてる龍平に負担をかけまいと
重心をかけないように頭を少し浮かす
あんまり浮かせてもいけない
美容室慣れしてなくて力が入ってる田舎モンと思われるからだ
気づかれないように若干浮かす匙加減が難しい
そんな苦労の甲斐あってか、作業はつつがなく進み
うなじ辺りを流す龍平
ハッ( ̄○ ̄;)
うなじというか首のその辺りには
妙なイボが出来てるのよぉぉぉ~
龍平~~
気づいたよね
わかっちゃったよね~~
今までの私の苦労は何だったのか
家庭の医学によると、加齢によるイボらしい
爺さん婆さんになるとイボあったりするよねぇ
つまりは、おさげにブルマ姿だったあの頃にはもう戻れないって事よね
(誰だよ)
龍平の手がその辺りをキレイキレイする度
さっきまで絶妙の匙加減で頭を支えていた首の力は抜けていった
『こんな事に何の意味があろうか…』ガクン
首の力を抜き、龍平の片手に頭を預けた途端
龍平の手を、洗髪台と私の後頭部で挟まってしまった
『あぁ…龍平
』
もう匙加減もクソもない
龍平はそっと片手で頭を浮かせて挟まった片手を救出
『ごめん…龍平』
恋の終わりを感じていた
『私達のあんなに楽しかった日々が崩れていく…
』(いつのだ)
変わらぬ笑顔で私を席へと導く龍平を見ても
もう以前の龍平ではない気がした
(だからいつのだ)
私が席に座ると、龍平は髪に巻いたタオルを外した
鏡に映る私の顔の輪郭部分はもうすっかり化粧がハゲてる
はぅあ…
イボ…皮膚科に行きたかったけど行けなかったんだよ
貧乏ってヤダよなぁ…
とりあえず貧乏のせいにしてさきほど起こった悲劇から目を逸らしてみる
…と、タオルで私の髪を拭いてた龍平
右の頬に付いた水滴もサッと拭いてくれた
り、龍平~
左の頬に付いてた染毛剤もサッと拭く龍平
右頬のはイボ
左頬のはシミ
サヨウナラ龍平…
今までありがとう
(数時間だぞ)
でも
この出会いは、私に貴重な事を教えてくれた
美容室の前に皮膚科
皮膚科の前にムダ毛処理
美容室…
私の自堕落を戒める場所である