蝦読weeklyです。
この土日はシークレット歌劇團0931の公演だったため、札幌にいました!
いやあ、楽しかった! 最高のご褒美でした!
ということで、蝦読とランニング履歴は1日ずつ遅れます。
瀬尾まいこ著 『その扉をたたく音』
『あと少し、もう少し』のスピンオフ第2弾。
駅伝を舞台に中学生の思いを連作短篇にして襷をつなぐようにまとめた『あと少し、もう少し』。その作品の登場人物が出てくるスピンオフになっています。とはいえ、今回主人公となるのは、音楽活動での夢を追いかけつつも怠惰な生活を送っている宮路。宮路が出会う人物が駅伝メンバーの渡部。高齢者介護施設を舞台に渡部や高齢者たちとの交流の中での宮路の葛藤が描かれるわけですが、そこは瀬尾ワールド。寂しくも暖かい物語になっていて、今回もまた涙腺を刺激されました。ぜひ、『あと少し、もう少し』を読んでから、読んでほしい作品。『君が夏を走らせる』もぜひ。
松井今朝子訳 『仮名手本忠臣蔵』
江戸時代に作られ、歌舞伎等で長い期間上映されている戯作。
私は『忠臣蔵』が好きで、毎年12月には忠臣蔵に関わる作品を見ていますが、偶然書店で見つけたので2023年の忠臣蔵はこの本で。住んでいる地域的にも歌舞伎などの古典芸能を見る機会はないと言っていいですし、テレビで時折放映されてもなかなか見られません。知識としてこのような作品があることを知っていただけなので、今回読むことができたのは嬉しい限りでした。初めて全編読んでみて「あ、自分の知っている忠臣蔵とは全然違うんだな」と感じた次第。仇討ちがメインじゃなく、そこに関わった人たちがメイン。討ち入りは比較的あっさりと終わる潔さもいいです。私がよく知る忠臣蔵も、仮名手本も、どちらも面白い。
こういう本を文庫で読ませてもらえるとは……ありがたい限りです。
桜木紫乃著 『ヒロイン』
架空の宗教団体が起こした事件に巻き込まれた主人公をめぐる話。
著者は北海道の人気劇団「シークレット歌劇團0931」の平民であることから、平民仲間として公演間近になったら読もうと決めていまして、15・16日に公演開催週に本を開きました。著者の作品は基本的にツラい状況や不幸が続くような状況の中でも生きぬこうとする姿を描くものが多く、読んでいて突き刺さってくるものばかり。本作も例外ではなく、事件を境にさすらいながら壮絶な半生を送る主人公の物語は決して明るいものではありませんが、どこか強さ・たくましさといったものを感じます。私自身はどちらかというと、ワクワクしたり、あたたかい気持ちになるような作品が好きなので、本来、著者の作風は合わないはずなんですけど、読み始めると引き込まれていくんですよね。桜木紫乃の「サッカ」としての力量の大きさを改めて感じた次第です。公演に持っていく予定でしたが、結局、公演前に読了。
桜木紫乃作品では、私の好みそうな作品を1つ見つけたので読む予定。
『南総里見八犬伝』全訳読破プロジェクト始動しています!