#815 レビュー 『月の輪草子』瀬戸内寂聴 | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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大河ドラマ『光る君へ』で、中宮定子の下で活躍した清少納言を歴史小説で味わおうと思い『月の輪草子【電子書籍】[ 瀬戸内寂聴 ]』を読みました。

90歳超の清少納言が、中宮定子陵近くの月の輪の庵でその人生を思い出す作品。瀬戸内寂聴さん自らが清少納言になって書いたような作品

  レビュー

本書は、『源氏物語』の現代語訳を行った瀬戸内寂聴さんが、講談社から花き卸の注文を受けて、一も二もなく、清少納言を書きたいと受け、3年もの歳月をかけ、90歳を超えて完成させた歴史小説です。

 

90歳を超えている年老いた清少納言が主人公になっています。中宮定子が亡くなって土葬された鳥辺野陵近くの月の輪に庵を構え、隠棲し、自身の二度の結婚(橘則光・藤原棟世)と二人の子どものこと、中宮定子の下で仕えた女房生活での道隆ら中関白家の家族や一条天皇との知的で華やかな生活の思い出や、道隆死後の中関白家の凋落と藤原兼家・道長と摂関政治全盛期を迎えていくその流れを、おぼろげながらに思い出していくスタイルで展開されます。

 

瀬戸内寂聴さんも90歳を越えての作品からすると、寂聴さん自身がその晩年の清少納言本人となって、平安王朝時代のことに思いを馳せながら書いたのではないかと思うような雰囲気の作品です。

 

年老いて、死期が近いことを悟りながら、静かに暮らすというのは、こういう感じで自分の人生を夢現の中で回想するものなのかなと思いながら読みました。

 

〈書籍データ〉

『月の輪草子』

校 注:瀬戸内寂聴

発 行:株式会社講談社

価 格:1,300円(税別)

 2012年11月1日 第一刷発行

 図書館で借りた本のデータです。

 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

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