大河ドラマ『光る君へ』を楽しむための『地図でスッと頭に入る平安時代』を読みました。
794年の桓武天皇の平安遷都から始まる約400年の平安時代を4つの時代に区分して、地図とともに平安時代の理解を深めてくれる大河ドラマ『光る君へ』のおそばに置いておきたい1冊
地図でスッと頭に入る平安時代 Amazon
レビュー
本書は794年の桓武天皇による平安遷都から始まる”平安時代400年”を大きく4つに分けて展開するのが特徴です。その4つとは以下のものになります。
1.天皇親政と藤原氏(藤原四家の争い)
2.藤原氏の権力掌握(他氏排斥)
3.藤原摂関政治(藤原氏の黄金期)
4.院政と平氏政権(公家から武家へ)
3のところが、大河ドラマ『光る君へ』の藤原兼家、道隆、道兼、道長らの時代に相当するものです。『光る君へ』は京が舞台ですが、平安時代には坂上田村麻呂らの東北植民戦争もあれば、他氏排斥や一門内の争いで有力者を左遷させるたりしています。左遷については菅原道長の太宰府が有名ですが、藤原北家の良房が北家の権威大きく高める承和の変では、越後国(新潟県)、石見国(島根県)、伊豆国・駿河国(どちらも静岡県)などに流されていることが地図で示されています。
『光る君へ』の花山天皇を兼家の謀略で息子道兼を使って出家退位させた事件についても、花山天皇がいる内裏から、道兼が外に連れ出し、藤原兼家の邸前を通過して、鴨川を西から東に渡り、出家する元慶寺への道も地図で示されています。この地図を見ていると兼家は自分の邸の前を花山天皇を乗せた牛車が通るのを「いまかいまか」と待ち、通り過ぎて「我がこと成れり!」と思ったんだろうなんてことを想像してしまいました。
そのような展開だけでなく、平安貴族の1日や平安貴族の一生や年中行事、平安時代の貴族の邸のつくり方や、今後の『光る君へ』の展開として、まひろこと紫式部も藤原道長の娘で一条天皇の入内した中宮彰子のサロンで働くことから、平安女性の仕事や後宮の仕事などもイラスト入りで説明されているので、そういった面からも楽しむことのできる1冊と言えます。
大河『光る君へ』をみるときの側に置いておくといい1冊です。
〈書籍データ〉
『地図でスッと頭に入る平安時代』
監 修:繁田 信一
発 行:昭文社
価 格:1,200円+税
2021年10月1日 1版1刷発行