『はじめてのギリシャ神話解剖図鑑 』 読書目標”とにかく読了 ギリシア悲劇”の現存する作品のほとんどがギリシア神話をベースにしているので、その参考本として読みました。
分かりやすく整理され、ギリシア神話・悲劇だけでなく、それらを基にした文学作品や演劇を楽しむときにそばに置いておきたい1冊
レビュー
高学年向けの児童書でギリシア神話を一通り読んだ後に『はじめてのギリシャ神話解剖図鑑 』を読みました。
この本は、ギリシア神話、それをベースにしたギリシア悲劇をはじめとするルネサンス期のボッティチェッリなどの絵画作品や様々な時代から現代にいたるまでの文学・演劇作品を楽しむときにそばに置いておき、照らし合わせながら読むと一層深く味わうことができるものとして使える1冊です。
三島由紀夫も敗戦直後の日本を舞台にしながら、エウリピデスのギリシア悲劇『メディア』を翻案にした『獅子』という作品を書いていることも本書で知りました。エウリピデスを読んだ後にぜひ読みたいと思っています。
ギリシア神話の様々なエピソードを、絵や図とともに大変分かりやすくまとめてくれています。本書が親切なのは、のちにページで登場する人物や出来事や前のページで登場していた人物やエピソードについてもその中で該当ページを示してくれるので、すぐに確認できる設計になっているところです。
このおかげで各エピソードや人物を効率的に確認できます。特に頻出しない人物についてはこの設計のおかげで本当に助かりました。
ギリシア神話だけでなく、そこから派生したものについての説明も豊富です。たとえば太陽系の惑星の”水金地火木土天海冥(私が子どものころはこの順でならいました)”について、それぞれギリシア神話の神々の名前がなぜついているのかの説明(水星は明け方や夕方の短時間にしか見えないため、足の速いヘルメス=マーキュリーと、金星はこれらの中でもっとも光度が高く美しい輝きを見せるので愛と美の女神アフロディテ=ヴィーナスと名付けられる)やフロイトの「エディプス・コンプレックス」やユングの「エレクトラ・コンプレックス」なども知ることができて1冊でいろいろな方面での学びのあるものでした。
ギリシア神話を初めて読もうという方がいきなり読んでも大丈夫です。むしろ本書でイメージをつかんで、ギリシア神話と向かい合うのにもいいですし、先にギリシア神話を読んでもう少し頭の中を整理したいという使い方もできるかなりおススメな1冊です。
〈書籍データ〉
『はじめてのギリシア神話解剖図巻』
著 者:河島思朗
発 行:株式会社エクスナレッジ
価 格:1,700円(税別)
2023年12月19日 初版第1刷発行