#376 本レビュー『歴史街道 令和5年9月号』の感想 | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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NHK大河ドラマ『どうする家康』でついに激突した二人、羽柴(豊臣)秀吉と徳川家康の特集と誕生160年の新撰組が主な特集の『歴史街道2023年9月号(特集1「豊臣秀吉と徳川家康」)』について

秀吉との対立を史実から考えてみる

歴史街道2023年9月号(特集1「豊臣秀吉と徳川家康」)

  感想や考察

豊臣秀吉と徳川家康 天下をめぐる激闘

何本かの記事の中で興味深かったのは、最新の研究では「中国大返し」は誇張であったということで、従来の通説のような尋常ではないスピードではなかったこと、通常の行軍スピードと異ならなかったこと、ただそれでも毛利に信長横死を伏せて講和を結んで、一気に京近くまで戻ることができたことは、明智光秀にとって想定外であったことから効果があったことは間違いないんだと思います。

 

山崎の戦いについて、ドラマでも秀吉vs光秀という形ですが、文書などから確かに主導的に動いていたのは秀吉ですが、秀吉は織田信孝を主将として戦う形にしており、その主導権を握ったことで存在感をさらに上昇させることにつながると、そして清須会議での三法師擁立も、これを秀吉が強引に主張し、そこに柴田勝家がかみつくという感じで描かれることが多いのですが、実際には異論はうかがえず、争点は織田信雄と織田信孝のどちらが三法師の名代を務めるかということだったそうです(だからこそ、のちに織田信雄と織田信孝が三法師を巡って争うわけなんだと思います)。

 

ドラマなどでは、信長が横死して光秀を討とうと戻るところから明確に天下を意識して動いたように描かれることが多いようですが、本書からわかることとしては本当に明確に天下を意識するのは、賤ヶ岳の戦いで柴田勝家に勝利したあたりからだそうです。

 

新撰組?新選組?

今年は新撰組誕生160年、隊名の由来や授けられた時期の最新研究の特集でした。

シンセングミは、新選組なのか、新撰組なのか?

”選”なのか

”撰”なのか

これについては、土方の手紙は”撰”で、近藤の手紙は”選”と書いてあるそうで、どちらに使用しても構わないそうです。

隊名については、会津藩から藩で由緒ある名前を八月十八日の政変(1863(文久3)年8月18日)で活躍した壬生浪士組に期待を込めて授けられ、1863(文久3)年9月15日付の幕府が新撰組に禄位を授ける意向に対して辞退する書には、新撰組の名前が使われているそうで、資料で確認できる時点ではこのところの前あたりからとのことだそうです。また新資料が出れば変わるかもしれませんが、文久3年の八月十八日の政変がカギのようです。

 

〈書籍データ〉

『歴史街道 令和5年9月号 第425号』

発 行:株式会社PHP研究所

価 格:840円(税込)

発 売:2023年8月6日

 

 

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