#288 映画レビュー『独裁者たちのとき』の感想 | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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神戸帰省中にみた映画『独裁者たちのとき 』のレビュー

煉獄で繰り広げられる天国行きを願う独裁者たちの独白劇


  感想・考察など

この映画の凄さは、ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督が四人の独裁者についてはすべてアーカイブ映像を使っているということです。


おどろいたのは、イギリスのチャーチル首相も独裁者の一人ということです。

ヒトラー総統、スターリン書記長、ムッソリーニ統領が独裁者なのは分かるんですが、この監督の評価では、ロシアではそういう評価なんでしょうか、それともソクーロフ監督の評価でしょうか

その4人の独裁者、天国でもない地獄でもない〈煉獄〉にて、その神の扉前で天国行きを願いながらも扉の中に入れてもらえずに閉められて待たされる。それぞれがさまよいながら、それぞれに独白しつづけ、また神の扉の前に来て天国入りを願うも叶わずさまよいつづけるストーリー

オープニングは死んだスターリンが目を覚ますところから始まります。そこスターリンの横にはなんとイエス・キリストが横たわっています。イエス・キリストも〈煉獄〉にいるわけです。

独裁者たちは、相手に怒りをぶつけたり、罵ったり、笑ったり、そして、その独裁者等に熱狂した民衆が渦のように波のように荒れ狂い、その群れに自らを誇る独裁者たち、
チャーチルは少し変わっていて、やたらエリザベス女王のことを気にしていて、女王に電話して自らの功を誇ることにこだわっているようでした。

第二次世界大戦頃の独裁者たちとそれを支えた群衆、その時代の熱狂を〈煉獄〉という天国でも地獄でもない世界で繰り広げられています。

それぞれの独裁者についてと独裁者どうしの関係を知識としてもっていないと見ているのは辛いと思います。知っているとそれぞれの独白や相手に向けての独白の意味が分かります。

ダンテの『神曲』を読み知って入れば、この煉獄の理解がより深まり楽しめたと思いますが、煉獄とはこういう世界なのかなとイメージがわきました。

しかし、この独裁者4人はアーカイブ映像からというのが驚きです。途方もない作業時間ではなかったかと思います。

こちらは映画パンフレット
原題は『おとぎ話』

 

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