大河ドラマ『どうする家康』を楽しむために、その家康譜代の家臣である大久保彦左衛門が書いた『三河物語』を読んでいきたいと思います。その1はその『三河物語』について
家康譜代の家臣が書いた
子孫に大久保一族の働きを伝えるための門外不出の書
<書籍データ>
現代語訳 三河物語
著 者:大久保 彦左衛門
訳 者:小林 賢章
発行所:㈱筑摩書房
2018年3月10日 第1刷発行
定 価:1,200円+税
ちくま学芸文庫
三河物語について
徳川家譜代の家臣、大久保家の大久保彦左衛門忠教が、徳川家康に代々奉公し忠勤を励んできたその家筋を誇り、子々孫々に一族のすばらしさを伝えるために書いた門外不出の書
門外不出というのは、この大久保彦左衛門忠教さんが、『三河物語』で章末などに書き加えられ、大久保一族のためだから、他の一族のことをどうこう書かないから門外不出で、もし見られたら、他の一族も同じように記録して残せと主張しています。
もう一つの特徴として、太田牛一の『信長公記』は嘘が多いと断罪したりしています。
大久保彦左衛門忠教の兄が、『どうする家康』でいろいろ献策する小手伸也が演じる大久保忠世です。もし忠教が出演するなら誰が演じることになるでしょうか
この大久保忠教さんは、桶狭間の戦いのあった永禄3(1560)年に生まれています。徳川家康が三河を統一し、天正4(1576)年に武田信玄との連携で今川領侵攻で兄の大久保忠世と参戦するのが初陣で、第一次上田城攻め、そして関ケ原の戦いのときの第二次上田城攻めでどちらも真田昌幸らに翻弄されているときに従軍しています。
忠節を尽くすも、大久保忠隣が江戸幕府内の政争に敗れて改易となったときに、忠教さんも連座で改易され、家康の旗本として働くことになり、その最晩年に徳川の歴史と大久保一族の働きを残すためにこの三河物語を書いたそうです。
そこからすると、せっかく忠節を尽くしたのに、改易されてしまった一族や連座で改易させられた自らの無念についても伝えたいという思いが働いている記録といっていいのかもしれません。それゆえに門外不出を書き込んでいるんだろうと思います。
これを大河を楽しみために読んでみたいと思っています。