#164 献本レビュー『近代日本の「知」を考える』宇野 重規著 | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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本が好き!の献本でいただいた『近代日本の「知」を考える』のレビューです。

 

明治から現在まで活躍した知識人、その名前や作品名を知っているけども、その方々の背景や作品のことを知ることができるブックガイド的に活用できる1冊

 

 

 

 
 
 

<書籍データ>

『近代日本の「知」を考える。

            :西と東の往来』

著 者:宇野 重規

発行所:ミネルヴァ書房

 2023年1月日 初版発行

定 価:2,420円

私にとっては司馬遼太郎や手塚治虫の二人は作品も読んだことがありますが、それ以外の方については名前と作品名は、25年以上前の就職活動で新聞社を希望して動いていたので、筆記試験対策に名前と作品を暗記する形で知っているだけでしたので、知識人それぞれの方のイメージを豊かにしてくれる1冊でした。

本を通しての印象は、各知識人の話の最後が問いかけで終わっていることが多かったので、宇野先生は、近代日本の「知」を担ってきた知識人のその問題意識を今こそ見つめなおして、今の日本のあり方を考えるべきではないかということを伝えたいのではと思いましたし、今の生活でも言論空間でも閉鎖的というか対立的な状況だからこそ、自由な「知」の風が必要なんだろうと思います。

そういった意味では、戦時下で「アマチュア」精神の林達夫や、江戸時代の身分制度に憎しみを抱いたともいっていい福沢諭吉があえて民の立場から日本を変えるべく慶応を作り、作品を生み出してきたこと、戦中にとらわれ獄死した三木清や戸坂潤にあり方は、自由な「知」のあり方を大いに考えさせてくれるものでしたし、その著作を読んでみようと強く思わせてくれるものでした。


著書に取り上げられた知識人は、私自身読んだほうがいいと思った方であふれており、そういった意味で、その方の本を読む際にその方の生き方も知ったうえで読んだほうが作品の理解も深まるので、ブックガイドとしても活用したいと思いました。

最後にふと思ったのが、宇野先生が東京一辺倒の知性といったときにその東京一辺倒の知性を担った知識人って誰だろうってことでした。

 

 

 

 

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