『伊勢物語』第87段の舞台
布引の滝を散策
2022~2023年の年末年始は神戸に帰省していたので、せっかく『伊勢物語』を読了したので、その舞台となっている布引の滝に行ってまいりました。
新幹線の新神戸駅から歩いて坂を上り、そして山を登って進んでいくことになります。
布引の滝エリアに入るとすぐに、雄滝(おんたき)と雌滝(めんたき)の二手に分かれますが、私はまずは近くの雌滝に
5分程度歩けば、雌滝につきました。
そして、『伊勢物語』の在原行平・業平兄弟の歌碑のある雄滝&夫婦滝方面へ
まずは雄滝です。すぐに連続してた滝が流れているので夫婦滝と呼ばれています。
ここには、在原行平・業平兄弟が、布引の滝に訪れで詠んだ和歌の歌碑などがあります。
まずは、この在原行平の歌
わが世をば 今日か明日かと 待つかひの
涙の滝と いづれ高けむ
現代語訳:今日か明日かと私の出世を待つ甲斐も無く落ちる私の涙の滝と、この布引の滝はどちらがより高いだろうか。
藤原摂関政治が全盛に向かっていく中、他氏貴族の不遇の身を嘆くような歌です。
その歌を受けて、在原業平が詠んだ歌
ぬき乱る 人こそあるらし 白玉の
まなくも散るか 袖のせばきに
現代語訳:一筋に貫いた白玉(真珠)を抜いて乱す人がいるらしい。私の狭い袖で受け止めきれないほどに、休む間もなく散っている
近くには、涙石というものもありました。
これは、不遇をかこつ在原行平が滝を見に来て涙を流し、それが石になったものということです。
その近くには、『伊勢物語』とは別ですが、在原行平が、布引の滝を題材に寂しき心を詠った歌碑もありました。
さらに進むと
おたき茶屋というお店がありました。
そこからさらに登ると
展望台が広がっていました。トイレも所々に整備されています。
展望台からの港町・神戸の風景
ロープウェイもみえました。
ときには、本の舞台に実際に行ってみて、そこで作品を味わうのもまた楽しいと思いました。
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