えびけんの積読・乱読、できれば精読 & ウイスキー

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2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟』ということで、司馬遼太郎先生が豊臣家の人々をそれぞれ章立てして書いた『豊臣家の人々』を読みました。

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司馬遼太郎先生の筆で、秀長・正妻の北政所・淀君&秀頼・秀次・秀秋・秀家などそれぞれの人物像を知る1冊

 

  内容・レビュー

本書は9つの章立てで、それぞれで秀吉を中心とした豊臣家の人々の話が書かれています。構成は以下の通りです。

 

第1話:摂政関白(甥:羽柴秀次・豊臣秀次)

第2話:金吾中納言(甥:小早川秀秋 小早川家に養子に行く)

第3話:宇喜田秀家(宇喜多家からの養子的存在)

第4話:北ノ政所(正室:高台院・ねね)

第5話:大和大納言(弟:羽柴秀長・豊臣秀長)

第6話:駿河御前(妹:朝日or旭、家康に嫁ぐ)

第7話:結城秀康(徳川家康の次男で秀吉の養子、その後、結城家の養子)

第8話:八条宮(皇族で秀吉の猶子、のちに離れて宮家を立てる)

第9話:淀殿・その子(茶々&秀頼 鶴松も)

 

本書を通して印象に残ったのが、徳川家康は織田信長が本能寺の変で明智光秀に討たれてから、天下を意識しながらも、秀吉の下につき、秀吉が病死すると天下を狙って動き出すという人物像として描かれていることです。

 

家康が天下を狙いながらも、天下人の秀吉の下で我慢して時を待つ間の存在として、秀吉から嫁として与えられた駿河御前や、秀吉に養子として出した次男の秀康。秀吉亡き後は天下を目指して北ノ政所にうまく近づき、淀殿を硬軟自在に挑発するなど狸おやじぶりがよく分かります。

 

秀吉亡き後の徳川家康の天下への道について、本所での司馬先生の見立ては、秀吉の出身地の尾張系と浅井長政滅亡後の長浜城主として浅井旧臣などの近江系が、前者は正室・北ノ政所を拠り所に、後者は淀殿を拠り所にして、主流派闘争的なところを家康が謀臣・本多正信とともにうまくついたという感じでした。

 

もし、北ノ政所に男の子が生まれていたら、淀殿に男の子が生まれていなかったらその展開はまた異なっていたのかもしれません。

 

『豊臣兄弟』との関係で行くと、司馬先生は弟・秀長は秀吉とは父が異なる異父兄弟という形で描いていました。こちらも堺屋太一さんの秀長と同じく、秀吉の影のような存在として兄・秀吉を支え、秀長がもっと長生きをしていれば、天下は家康のモノにはならなかったのではないかという描かれ方をしていました。

 

〈書籍データ〉

『豊臣家の人々』

著 者:司馬遼太郎

発 行:中央公論社

価 格:1,100円

 1967年12月05日 初版発行

 1982年10月30日 38版発行

 
 
 
 

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