先日、滋賀県草津市立矢倉小学校からご依頼をいただき、音楽鑑賞教室で演奏してきました。
これまで文化庁や地元・笠間市、茨城県の文化振興財団などからの依頼で、数多くの学校公演に携わってきましたが、今回は学校から直接お声がけをいただきました。
学校によって環境も予算も異なります。
今回は、いただいた予算の中で、どうすれば子どもたちに最大限音楽を楽しんでもらえるかを考え、出演者やプログラムを組み立てました。
信頼できる仲間たちと作る音楽鑑賞教室
今回の編成は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットによる木管四重奏に、司会・語り・歌を加えた5人編成です。
司会と語り、歌には、舞台やミュージカルで活躍する松岡里奈さんにお願いしました。
音楽を聴いてもらうだけでなく、物語を楽しみ、一緒に歌い、身体を動かす。そんな約60分の公演を目指しました。
フルートの荒井美幸さん、オーボエの木原亨さん、クラリネットの長谷川さくらさんも、これまで何度も共演してきた信頼できる仲間たちです。
演奏はもちろん、子どもたちとのやり取りも含めて、安心して任せられるメンバーが集まりました。
楽器の音色が物語の登場人物に
公演は『となりのトトロ』より《さんぽ》でスタート。
続いて、今回のメインプログラムであるプロコフィエフ作曲《ピーターと狼》に登場する楽器やキャラクターを紹介しました。
フルートは小鳥、オーボエはあひる、クラリネットは猫、そしてファゴットはおじいさん。
さらに、オーボエの仲間であるコールアングレも登場し、クラリネットやファゴットとともに狼の怖さを表現します。
楽器の音色や音域の違いによって、それぞれの登場人物の性格や動きが伝わってくるのが、この作品の面白さです。
公演後にいただいた感想文には、こんな言葉がありました。
「わたしがふいてみたくなったがっきは、クラリネットです。理由は、やさしいかんじから元気いっぱいのしゅ類の、えんそうができるからです。」
「音楽の音は耳だけじゃなく、体でもかんじられるということ、となりの人とのダンスがすっごいと思いました。」
一つ目の感想からは、クラリネットの表現の幅広さを感じ取ってくれたことが分かります。
そして二つ目は、楽器の音を聴くだけでなく、音楽を身体で感じることにも目を向けてくれた言葉です。
子どもたちがそれぞれの視点で音楽を受け止めてくれたことが嬉しく思います。
音楽で描く物語《ピーターと狼》
楽器と登場人物を紹介した後は、いよいよ物語の始まりです。
松岡さんの語りに合わせて、4本の木管楽器が物語を描いていきます。
約25分の作品ですが、子どもたちは驚くほど集中して聴いてくれました。
小鳥の軽やかな動き、あひるの様子、忍び寄る猫、怖い狼、そして勇敢なピーター。
音楽と物語が一つになって進んでいく世界を楽しんでくれたようです。
感想文には、こんな素敵な言葉もありました。
「本当に青空に子とりがちろちろ飛んでいるので、よかったです。」
また、別の子は、
「とてもねいろがひびいてきれいだった。とても楽しめました。」
と書いてくれました。
音楽は、言葉を使わなくても情景や気持ちを伝えることができます。
子どもたちが音を聴きながら、それぞれの頭の中に物語の世界を思い描いてくれていたことが伝わってきます。
演奏家として、これほど嬉しいことはありません。
みんなで歌う、みんなで音楽を作る
《ピーターと狼》の後は、映画『魔女の宅急便』でもおなじみの《やさしさに包まれたなら》を、松岡さんの歌と木管四重奏でお届けしました。
そして、矢倉小学校の校歌。
自分たちの学校の歌を、いつもとは違う楽器の伴奏で歌ってもらいました。
私たちが演奏するだけでなく、子どもたちの歌声が加わることで、その場にいるみんなで音楽を作る時間になりました。
音楽は耳だけでなく、身体でも楽しめる
最後はボディパーカッションです。
手をたたいたり、身体を使ってリズムを感じたり。楽器がなくても、自分の身体で音楽に参加することができます。
練習したリズムを使い、最後はもう一度《さんぽ》を演奏。
今度は子どもたちも一緒です。
最初に聴いた曲が、最後にはみんなで参加する音楽に変わりました。
子どもたちの感想には、
「音楽は一人でするんじゃなくてみんなでやったほうが楽しいと思いました。」
という言葉もありました。
これは今回の公演で、ぜひ子どもたちに体験してほしかったことの一つです。
音楽は静かに聴くことも楽しいし、身体を動かすことも楽しい。
一人で楽しむこともできるけれど、誰かと一緒に音楽を作る楽しさもあります。
そんな音楽のさまざまな魅力を感じてもらえていたら嬉しいですね。
(先生方にも楽しく踊っていただきました!)
子どもたちから届いた感想文
既に紹介したように、公演後、学校から子どもたちの手書きの感想文をいただきました。
一枚一枚読んでいると、私たちが想像していた以上に、いろいろなことを感じ取ってくれていたのが分かります。
楽器の音色に興味を持った子、物語の場面が印象に残った子、身体を動かすことが楽しかった子。
同じ演奏を聴いていても、心に残ったことは一人ひとり違います。
中には、
「音楽の音は耳だけじゃなく、体でもかんじられるということ」
と気づいてくれた子もいました。
また、
「音楽は一人でするんじゃなくてみんなでやったほうが楽しいと思いました。」
という言葉も、私たちの心に残りました。
演奏する側にとって、こうした子どもたちの言葉は何よりの励みになります。
そして、もう一つ忘れられないことがありました。
演奏を終えて学校を出るとき、私たちを見つけた子どもたちが、ずっと手を振って見送ってくれたのです。
その光景は、今回の公演の大切な思い出になりました。
生の音楽との出会いを、これからも
学校での音楽鑑賞教室は、通常のコンサートとはまた違った魅力があります。
普段クラシック音楽を聴く機会が少ない子どもたちにも、生の楽器の響きを間近で体験してもらえること。
そして、その体験が新しい興味や発見につながるかもしれないこと。
今回、学校から直接ご依頼をいただき、企画から携わることができたのは、私にとっても貴重な経験でした。
これからも、それぞれの学校の環境やご希望に合わせて、子どもたちの心に残る音楽の時間を届けていきたいと思います。
矢倉小学校の皆さま、先生方、そして一緒に音楽を楽しんでくれた子どもたち、本当にありがとうございました。
出演者
フルート:荒井美幸
オーボエ・コールアングレ:木原亨
クラリネット:長谷川さくら
ファゴット:蛯澤亮
司会・語り・歌:松岡里奈
学校公演・音楽鑑賞教室のご相談について
木管楽器による室内楽を中心に、楽器紹介、物語付きの演奏、歌、参加型プログラムなど、対象学年や公演時間、ご予算に合わせた内容をご提案しています。
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