バラは年に二度、見ごろの時期をむかえる。この写真は、その見ごろが終わりかけの七月なかばに撮影したので、満開の華やかさこそないが、かえって儚く、ひなびた自然の趣きがあって悪くない。バラといえば、古い映画に「酒とバラの日々」というアルコール中毒に陥った夫婦の悲劇を描いた作品があって、その主題歌の歌詞がとても印象的だった。
「酒とバラの日々 笑ったり 逃げたり
まるで遊んでいる子どものように
閉じてゆく扉にむかって 草原をかけぬける
以前にはなかったその扉には "二度と戻れない" の文字...」
どうだろう。何やら悪い予感がしてきそうな歌詞だが、実は映画のほうもハッピーエンドではない。それでいてヘンリー・マンシーニのこの主題歌は、おそろしいほど美しく哀しいメロディで、当時のアカデミー歌曲賞を受賞している。私も大好きな一曲だったりする。