何気にテレビで映画を観ることになった。
「スケアクロウ」
暴行傷害の罪で服役し、6年間の刑期を終えたばかりのマックス(ジーン・ハックマン)と5年越しの船乗り生活から足を洗ったライオン/ライアン(アル・パチーノ)が出会うところから物語は始まる。
マックスは洗車屋を始めるためにピッツバーグへ、ライオンは一度も会ったことのない自分の子どもに会うためにデトロイトへ向かう。二人の出会いはヒッチハイクの途中だった。喧嘩っ早く、どこか神経質なマックス。陽気で人なつっこいライオン。正反対の二人がふとしたきっかけで意気投合し、道中を共にしていくことになる。マックスが「カラスをスケア(脅かす)から案山子」というのに、ライオンは「おかしな格好のかかしを見て笑い転げて、この畑の持ち主はいい人だ、だから荒らさずにおこうと思う」という。
二人はマックスの妹の家に寄り、皆で行ったバーで宴を始めるが、そこでのマックスの喧嘩で再び更生施設送りになる。ライオンは牢名主に暴行を受けケガを負うが、マックスに助けられ二人は1ヶ月後に出所する。
デトロイトに着く。ライオンは妻に会うため理髪店と教会に寄り、彼女の家の前で電話をする。しかし妻は2年前に再婚しており、「子どもは死んだ」とウソをつく。それを聞いたライオンは錯乱状態に陥り病院に担ぎ込まれる。「お前がいないと洗車屋ができない、お前の面倒は俺が見る」と眠り続けるライオンに語りかけるマックス。一人で駅へ向かったマックスは、ピッツバーグ行きの往復切符を買うのだった。
ウィキペディアより引用
1973年に発表された、この「スケアクロウ」は、ジーン・ハックマン演じるマックスとアル・パチーノ演じるライオンの男同士の友情を描いた作品である。
たまたまつけたテレビで私が観ることになったのは、この2人が田舎道の両側でそれぞれヒッチハイクしているシーンからだった。
「?」
その象徴的なシーンに興味を覚え、どんな映画かわからないまま見入ってしまったのだが、この2人を観ていて、「ツインソウル」のことみたいだ・・・と思った。
まったく正反対ではあるけれど、なぜか気があう2人。途中、別れ別れになることもあったけれど、遠くからいつも見守っていた。影になり日向になり、最終的にはお互いが「かけがえのない人」になっていく…その課程が、まさしくツインソウルのそれに感じたのだ。ツインソウルは、恋愛の相手というよりも「最も信頼できる大親友」が一番近い気がする。それが、そのまま映画になったようで興味深かった。
喧嘩早いマックスの気性の荒さを、ライオンの穏やかで包み込むような愛が受け止め、ライオンの傷つきやすい繊細な心を、マックスの大きくてどっしりとした愛が受け止めている。アメリカ横断というヒッチハイクを共にする過程で、お互いの長所・短所も全てさらけだし、理解し、それでもって受け止めている2人のやりとりは、どこか清々しかった。
一番感動したのは、誰も信用することができず、「裏切ったら殺す」とまでライオンに言っていた冷血漢のマックスが、ライオンだけには心をどんどん開いていったところ。ライオンという人物がそこにいるだけで、冷たかったマックスの心は温かいもので満たされていったのだろうなぁ・・・と思う。何があっても、自分を「裏切ることなく」全てを受け止めてくれるという安心感が、マックスの心をひもといていったのではないだろうか。ライオンのおかげで、マックスの喧嘩早さも次第に落ち着いてくる。
しかし、物語の後半、そのライオンがあまりのショックに「統合失調症」になってしまう。彼の繊細な心は、つきつけられた現実に耐えられなかったのだ。病院に担ぎ込まれるライオンを、マックスが全身全霊をかけて守るという展開になっていく。ピッツバーグで一旗揚げようと思っていたマックスが、ピッツバーグ行きの切符を往復購入するところで物語は終わる。そう、ライオンのために戻ってくることを、心に決めた行動だった。
物語の途中で、男女の恋愛関係もちらほら出てくるのだが、それは全て、信頼関係が成り立っていないもののように見えた。だから、とても脆く感じたのである。それよりも、信頼という絆で結ばれた、この2人の友情の方が揺るぎないものに感じた。ホモセクシャルのそれではない、「男同士の友情」である。
どんな関係であっても、信頼が築けていないままの結びつきは、存外多いのかもしれない。その土台がないままの関係は、何かあるとすぐに啀み合い「別れ」の選択になるのかもなぁ・・・と思った。それほどに、信頼関係は大事なのだと感じたのである。
ヒューマンドラマの傑作と銘打っているだけあって、納得の作品。
観ることができて良かったと思う。