一週間ほど前の出来事である。
その日、出先から夜の9時頃、帰宅。
玄関に鍵を置こうとした私の手に何かが当たった。
下駄箱の上に飾っておいた、水晶玉である。
コロコロコロ・・・・
(あーーーーーっっっ!!!)
下駄箱から落ちそうになったので、とっさに手を出したが遅かった。
コーーーーーン、コーーーーン、コーーン、コッ、コッ、コッ、コロロ・・・
まるで、スーパーボールが弾むように派手に玄関床に落ちた。
直径3センチのこの水晶玉。
割れこそしなかったが、落ちた衝撃で傷がついてしまったことが、ものすごくショックだった。購入してかなり経つが、こんな風に落ちることは今までなかったことだ。ショックを受けながらも、何か意味があってこんな事になったのだろう・・・と思っていた。今はわからなくても、そのうち分かるだろうと。
この日、私はどうしても寝付けなかった。
翌日に旅行を控えていたこともあり、その用意で気ぜわしかったこともある。が、もっと言うと鳩尾の辺りが落ち着かない。なんだか、消化不良のような何ともいえない気持ち悪さがあったのだ。出先で食べ過ぎたのかな・・・と思い、胃腸薬を飲む。
旅行の用意をしながら、家の中の片付け、自分自身の身支度等諸々をしつつ、一向に眠くならないので、さらに携帯をいじったり、本を読んだりと、なんやかんやで午前3時まで起きていた。
(いい加減寝ないと、旅行に響く・・・)
と思いつつ、布団に入るも鳩尾の気持ち悪さがあって寝付けない。その時、遠くのほうで、小さく「ガチャン」という物音が聞こえた気がした。
(こんな夜中に誰だろう?近所の人が遅くに帰ってきたのかな?それとも早くに目を覚ましたのかな?)
何となく気にはなったのだが、早く寝なくては・・・という気持ちがあったため、目をつぶって一生懸命寝ようとしていた。そうこうするうちに、眠りに入っていった。
目覚ましの音で起きたのが、朝の5時半。6時半には出発だったので、朝の支度をするために台所にいく。
「あれ?引き出し開けてたっけ?」
引き出しという引き出しが、全て中途半端に引き出ているのを見つけて、おかしいと感じたのだ。もしかして、泥棒が入った??
確信がないまま、身の回りのものを確認しているときに、家族が自分のカバンが無いと言い出した。
「やっぱり、泥棒が入ったかもしれない」
台所と続いている居間の窓ガラスが、不自然に空いていたのに気づいた家族がそういった。
すぐに警察へ連絡。
事情聴取、鑑識等を進めている最中、盗まれたものが近くの建物脇で見つかった。
家族のカバンのほかに、私の資料カバン等もそこで発見される。明らかに物色した跡があったが、幸いなことに、通帳、印鑑、身分証明書等は全て無事。現金だけが盗まれていたのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
警察の方々が帰った後、3時間遅れで旅行先へ向かった。しかし、朝のショックがどうしても抜けきらず、しばらく鬱々とした気持ちを引きずっていた。
物事は、起こるべくして起こっている。
これもきっと何か意味があったのだろう。
こう、頭でわかってはいても、気持ちを切り替えるのは簡単な事ではなかった。
その日一日、旅行先で悶々としていたが、ほとんど寝てなかった疲れがどっと出たのか、食事後すぐに就寝。ものすごく、ぐっすり眠った。
翌日、早朝に起き出し、スキーリフトにのってある山の山頂へ向かう。ご来光を拝むためである。頂上にあった神社に参拝し、日の出を待つ。
2000m近い山の上は雲で覆われたいた。
と、その時「おぉー!!!」と、同じ目的で山頂に集まった方々が一斉に声を上げた。ご来光である。一面の雲が一気に流れて周りの景色がはっきりと見え始めた。雲海の下、360°大パノラマで広がる壮大な光景は、非常に神秘的で感動ものだった。
この時、気が付く。
昨日の一件への鬱々とした気持ちが綺麗に霧散していることに。
泥棒にはいられたことへのショックより、むしろ感謝の気持ちが大きくなってきたと言ったらいいだろうか。
お金を盗られただけで済んでよかった。
厄払いできたのかもしれないな、ありがたい。
薄らいでいた危機意識を蘇らせてくれて、ありがとう。
色々と勉強させてもらえて感謝。
こんな感じで、気持ちが大きく切り替わったのである。
ふと、例の水晶玉のことを思い出した。
あれは、私への「エマージェンシー」発令の合図だったのではないか?
お守りがわりの水晶玉を落とすことで、私の意識に強く訴えようとしたのではないか?
考えてみれば、私の身の回りのものはほとんど被害がなかった。盗られていても、すぐに私の手元に返ってきているし、現金に至っては一切盗られない。被害にあいながらも、犯行にすぐ気がつけたこと。現金以外の被害品がすぐに見つかったこと。現金も大した額は盗られずに済んだこと。
これは、確実に守られていたと思う。
水晶玉の一件は、私を守って下さっている目に見えない存在方が、私に目に見える形で「危機」をお知らせくださったのだと思う。そうして、しっかりと守って下さったのだ。ありがたいことである。
ちなみに、眠れなかったことも「お知らせ」だったと思っている。もし、早々に寝入っていたならば、被害はもっと拡大していた可能性があるからだ。身体でメッセージを受け取っていたのであろう。
色々な意味で、守られていることを実感した今回の一件だった。
この出来事に感謝する次第である。