もうすぐ梅雨入りの休日。
外に出てみると太陽の光も差してこない鈍い色の空。
曇り空を見るといつもなら決められた場所で取り残された時間が流れるような虚しさが沸き起こったりするのに、今日はこの曇り空が錫色に映えてとても穏やかな気持ちにさせてくれるだけでなく、希望まで与えてくれている様な輝いた色に感じる。

見上げていると幻想まで生まれてくる。
アルカディアの楽園があるのならそこはきっと碧い空じゃなくて錫色の空に群青色の川が流れているんじゃないのかなと。

何かいつもと違うのは昨晩彼女と電話で話し、今朝は

おはよう、またね

と愛おしい声を聞いてLINEを閉じて、掌で触れるような気持ちを心の真ん中に綴じられたからに違いない。

ここ数日彼女とは全く電話ができていなかった。
彼女は一人で将来の事を考え悩んでいた。
その間、自分もこれまでと違って現実的に将来の風景を思い浮かべていた。

話せなかった時間に思った事を話すと彼女は安心したのか、二人の将来の証が欲しいと言う。

姓を変えてみるのもいいかもね

そう言われて自分は嬉しかった。
そんな時間が今日の曇り空を柔らかい銀色の希望の空に変えてくれたと思う。


錫色の空は希望の空