Hiromi Wadaさんのブログで知った「乳歯幹細胞由来培養上清(SHED-CM)」治療をやってみた。

 

 

詳しくはネットで検索していただくとして、造血幹細胞を始めとする幹細胞移植の成功例は多くなってきているが、脳神経細胞に効果が有った例は聞かない。

点滴などの移植方法では脳の防衛システムを突破できないというのがその最たる理由らしい。

 

上記のプレスリリースに登場するALS患者も当初点鼻によって培養上清に含まれる分子量の小さなサイトカインを、臭球、三叉神経、鼻粘膜などを介して脳内に浸潤させようとした(下の説明参照)らしいが効果がなく、点滴に変更した後に拘縮軽減の効果が出たようなので、脳神経細胞に効果が有ったのではなく末梢神経系に効果が有ったのではないか、と言うのが医院長の見解だった。

 

点鼻方法:

 

それでもこれをやってみようと思ったのは、認知症患者にも効果が有った例があると聞いたから。それなら点鼻によって脳に浸潤した可能性がある。

何より点鼻は容易だし、点滴や骨髄への幹細胞の移植などと比べてリスクが小さく費用の面からもお手軽に試せる事が大きい。

 

現在、この治療法は主に美容・アンチエージング・増毛などに効果を発揮しているようで、このクリニックもメンズエステ風の造りになっていて、神経系に効果がなくても美肌や白髪には効果があるかも知れないと言われたことも一因だった。

今更、誰に会うわけでもなく、美肌効果は無用の長物なのだが。

 

点鼻開始から5週間余りが経過したところで再診。

特に(美肌も含めて)効果は無し。

強いて言うなら鼻毛や髭の伸長が早くなったかな、程度。

医院長からは、「効果が現れる人は2~3週間で現れることが多いので、残念ながらお役に立てなかったかも。やめるのを止めはしない。投与の方法を点滴に変えるにしても、今はALS患者を優先にしている。」との言葉が。

 

初めからダメ元治療で、これまでも数々のダメ元治療をしてきた経験(下記ブログ参照)から失望感はそれほどでもなかった。

今回もダメだったか。

 

それでも私は「もう一ヶ月分処方してください」と頼み込んだ。

 

理由は、この1ヶ月あまりの”生活の張り”とでも言うものだった。

改善の希望のない中のリハビリは正直しんどい。

いくらやっても病期の進行には抗えない、と思うとモチベーションの維持が難しくなっていた。

ところが、改善の可能性が少しでも有ると思えると、所詮調子の誤差の範囲だったと後でがっかりするにしても、その時は「ひょっとして」と思えるのが”リハビリのモチベーション”につながっているのを感じていた。

傍から見ると病気は着々と進行しているだけに見えるかも知れないが、自分にしか分からない些細なことで一喜一憂して心が躍る自分がいる。

 

これが神頼みのような他力本願だったらそうは思えなかったと思うが、与えられたものではなく自らが判断して行動し、多少なりとも科学的根拠があるかも知れないものだと思うだけで、世界が変わった。

 

自己暗示に過ぎないかも知れないことは重々承知している。

しかし、他の神経難病も然りで、希望も無くただ病気の進行に身を任せて無力感に苛まれながら生きていくだけなのはあまりにも辛い。

今回処方してもらった点鼻薬が無くなって、その時にも効果が感じられなかったら、自己暗示も通用しなくなるのかな。

延々と続けてきたジタバタもこれが最後かも知れない。