人生百年時代到来だと,例によって例の如く,誰が政策の起案書(稟議書)を書いたかは知らないがさんざん言いふらされている。

 

毎日毎日,葬儀屋は繁盛しているが,そんなに「健康で長生き」してるのかはなはだ疑問だ。おおかたダニ官僚の合法的な「盗み・タカり」と,関連業界の懐を温めるためのナチス流宣伝だろう。

 

「命長ければ恥多し」と伝わるけれど,少年時代には,例えば遠藤周作氏の「男とは,犯した数々の過ちを思い出すと,思わず叫びだしたくなるような冷や汗たらたらの恥ずかしさに苛まれるものだ」的な文章を読んでもサッパリ意味が解らなかったが,

 

半世紀を超えて生きてくると,残念ながらよ~く意味が解るようになってしまった。

 

国道で,今日も教育訓練に忙しい自衛隊車列の勇姿を見かけると,手を振ろうかなとも一瞬思うが,いやいやこれは若くプリティな女性の「専権事項」で,俺がやったら隊員の士気がかえって落ちると思いとどまる。

 

自らが隊員だった頃も,小さな子供達とプリティが振ってくれる手ほど,士気を高めるものはなかったからだ!?

 

事故なく永久の幸いあれと車列を見送っていると,昭和の終わりの某駐屯地の幹部食堂でのオリーブドラブ色の恥ずかしい思い出が忽然と甦った。

 

自衛隊の食堂は,当たり前だが大勢の迷彩やオリーブドラブ色に染められて,よほど特異な体型でもない限り後ろからでは誰が誰やら判別がつかない。

 

順番待ちの行列で,一瞥した背格好から直前の隊員を同期の桜だと思い込んだ私は,鼻歌交じりに右腕を彼の首に巻きつけるとスリーパーホールド状態で釣り上げ,「オラオラ~」と揺さぶったのだ。

 

相手が足をバタつかせながらもがいた刹那,当の同期の桜が斜め前の行列から目を丸くしてこっちを見ているのに気付いた。

 

「え?」

 

「ということは・・・君は誰?」

 

で,すぐに彼を降ろして振り向かせると,ジャン ジャジャンジャンジャ~ン♪そこには真っ赤な顔をした上官が目を白黒させているではないか。

 

ひたすら謝ったが,思わぬ奇襲を背後から受けた上官殿は「何事かと思ったゾ」と苦笑いし,しかも「俺も,もっと徒手格闘の腕を上げないとなあ~」なんて,大学を出たばかりで無知なボンクラ幹部を泣かせるフォローまでしてくれたのだった。

 

星ひとつ違えば「不動の姿勢」だった旧軍なら,その場でボコボコに殴られた挙句に営倉行きだったかもしれない。今もなお,火の出るような恥ずかしさと共に上官の温情への感謝が浮かぶ。

 

カードにまつわる恥ずかしい出来事もある。

 

これは「体験からすら学ばず」何度かやってしまったのだが,目前の相手はメンバーズカードを求めているのに,相手の美貌に目を奪われた私は,おもむろに抜き出した近所のスーパーのポイントカードを鷹揚に頷きながらトレーに乗せ彼女の失笑を買ってしまった。

 

また,公衆の面前ではちょっと口に出しにくい特定の場所の割引カードを微笑と共に提示したこともある。

 

この際は,確認したお嬢さんが「ハッ!」とした表情を浮かべて「お客様,あの~これは手前共とは提携していない・・・」と,目を合わせずに俯(うつむ)きかげんで恥ずかしそうに口ごもったので気づいたのだったが。

 

ここまで来ると,もはやミスター・ビーンものだ。

 

これが女性関係となれば言うに及ばず,アホな勘違いからの「ワンポイントの余裕を見せながらの「デートの承諾」」や,つい混乱して相手の名前を呼び間違えたり,二人で行って「いない」スポットの思い出を楽しげに話した後で,

 

「えっ?二人で行こうって言うの?なんでヨ?」と怪訝な顔をされたり,

 

「ねえ,わたしがいつ改名したの?」とか,

 

「それって誰との話?わたしは(語気を強めて)行ってないんだけどサ!」なんて,「そんなに信用ならない男だったのね・オーラ」を激しく放射されたりしていたのだった。

 

慌てて

 

「いや,つい若くで亡くなった叔母の事を考えてたら名前が出てしまって。君のように美人だったもんだから」とか,

 

「あら?あそこには君といつか行きたいなあ とずっと思ってるんで,先週の朝に見た夢を現実かと思い込んでしまってたみたいだね」なんて,

 

火に油を注ぐ「愚にもつかぬ言い訳と作り話」を試みては,もともと厚いとは言えなかった信用が粉みじんに爆砕されてしまったものだった。

 

振り返れば,人生は確かに取り返しのつかない恥に満ち満ちている。まだ一回りしないでこれならば,これから何十年も生きればいったいどれほどの恥を・・・と実に恐ろしい。

 

ましてや,私の場合は特に乏しい知性が加齢と共にますます衰え,記憶も次第にあやふやになってくると言うではないか。

 

ここはひとつ,盗人ダニ官僚共と,年寄りを食い物にして蓄財に励んでいるくせに,腐臭を放つ偽善の仮面をつけては「地域福祉への貢献」なんて歯の浮くような美辞麗句で守銭奴の本性を隠している者共の収入を減らしてやるためにも,

 

残り世をなるべく急いで駆け抜けて,閻魔大王からの糾弾を少しでも減らすべきだと,かなり飛躍した結論に落ち着く昨今だ。

「あの~大王様もそんな経験ないスか?」と言ったらますます怒るだろうな。