マンションの理事改選が終わった夜,新メンバーで飲みに出かけたことがあった。

 

一同明日も仕事だったので二次会は控えたが,その分かなりダッシュで?飲んだ記憶がある。

 

一人飲まなかった老舗ホテルの三代目が行き帰りに車を出してくれたのだったが,メンバーは,オーダースーツ店の社長に,建設業の若手専務,そして私の四人だった。

 

帰路,私はナビゲーターシートで,三代目がさりげなく自慢する赤く点滅するセクシーな?インパネを見つめていた。

 

「はあ,こういった涼やかな二枚目ともなると,流石に車選びの着眼点が違うなあ」なんて妙に感心しながら。

 

おそらくは,こういったタイプともなると,横に乗せた女性にあまやかな囁きを投げかけながら,彼女がふと気づいた時には優しく手を握ったりしているのだろう。

 

けしからん奴だ こういうのをエロオヤジというのだろう なんて,実に勝手な想像を根拠もなくめぐらしながら,心地よく回る酔いに身を任せていたのだった。

 

と,その時,

 

専務がおもむろに口を開き,楽しそうな口調で「ああ こないだ遊んだ高校生は良かったですよ~やっぱり違いますよね~吸いつくみたいで~なんていうか発展途上の魅力はたまらんですよねえ~」と語尾を不自然に伸ばしつつ実に嬉しそうに言い,

 

車内を見回しながら「ねえ 皆さんもそうでしょう?」と明るく同意と賛同を求めたのだった。

 

私は思わず横で車を操る秀麗な面持ちのスレンダーな二枚目の様子を盗み見た。

 

彼は,まるで何も聞こえないかの如く,まっすぐ前を見てステアリングをひたすら操っていた。

 

次にオーダーメイドの親方の様子をうかがうと,これはこれで急に酔いが回ったようにうつむいて目をつぶってしまっている。

 

「ここで下手に専務に同意すると,高校生の娘がいるくせに同世代を買春しているオヤジが,酔っぱらった勢いで誰にどこで何を言うか知れたものではない」と,双方が心配している心の声が鮮やかに私の耳朶を打った・・・ような気がした。

 

そこで私も,チラと専務を見やると,男達の沈黙の仲間に加わることにしたのだった。

 

専務はこの沈黙に「あれ!皆さんもそうじゃないの?おかしいなあ~」としきりに首をひねっていた。

 

おかしいのは未成年と淫行にふけってしまう,まるで反社会的反日特殊法人のNHKのような君の感覚だよ と,まさか言うわけにもいかないので私は沈黙を続けたが,

 

ふと,出産間際の大きなおなかを抱えた,スイミングクラブでよく一緒になった専務の奥方を思い浮かべて,なんとも複雑な思いがした。

 

いや,専務は真面目に働いている善人なんです。でも,たまにはそのお~ 実にけしからん息抜きも必要なのかもしれませんね。

 

などと胸中ひそかに呟いているうちに,車はマンションの駐車場へと滑り込んだのだった。

 

その後しばらくは,専務の奥方や高校生の娘さんと顔を合わせるたびに,私の罪でもなかろうに,なんだか年甲斐もなく照れてしまって,挨拶もそこそこに足早に立ち去る日々が続いた。

 

やはり,男とは悲しい生き物なのである。

エロオヤジの誘いに応じないようにね!

 

 

 

*おまけ* 

 

ただで官公庁を使用し,権力のコバンザメのくせに自分達だけは「取材拒否」する,ナチス由来の記者クラブの正体。

 

世界に類を見ない民主主義の敵 「日本特有の記者クラブ制度」を潰すことから国民の知る

権利の保証が始まる。