「知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書) 矢部宏治 著」より
黙っていれば得なのに,大義のためにあえてそうしない者が稀にいる。
下劣な温顔で票を漁る政治屋共が吹聴する「大義」とは全く違う,かつて多くの日本人が実際に生き死にの基準としてきた本当の大義だ。
わが国初の特殊部隊である特殊作戦群を創設し,初代群長となった荒谷 卓・元一等陸佐と電話で話した。
陸上自衛隊の幹部候補生学校で彼とは同期だったけれども,任官後に早期除隊した私は34年間,彼と話す機会はなかった。
同期中でも体力知力共に出色の存在で出世頭だった彼こそは,抜群の資質によりいち早く将官になるだろうと自然に思っていただけに,
拉致解決を始め,愛する祖国のための直言を要路の者達に臆せず繰り返していた彼が,制服を脱がざるをえなくなったと知った時は無念でしかたなかった。
同時に,再びの建軍と日本国の真の独立を深く希求していた彼が,その青雲の志を汚すことなく,ひたすら国に報いる武人の道を貫いたことを知って,
「損なのにバカだなあ・・・」と思いつつ無性に嬉しくて,幾度も一人きりで頬を濡らした。
日本を占領した悪辣なアングロサクソンと,征服者に媚びへつらった提灯持ちどもが仕組んだ終わらない敗者の戦後は,いまだにサムライを根絶やしにはできていない。
そこにのみ,いずれの独立回復への希望がある。