長く闘病中ながら,昨年は,6年前の春から夏に島根日日新聞へ連載した歴史小説「オレンジビーチ」を単行本化するお話を展転社からありがたくもいただき,改題後に「絆抱くペリリュー・日本を愛する島」として全国発売をしていただいた。

昭和19年のパラオ・ペリリュー島で,押し寄せたアメリカの大軍を迎え撃って粘り強く敢闘した陸海軍の若者達を描いた。

その際,ペリリュー島からパラオ本島へ住民を全員避難させて一人の犠牲も出さなかった,強くて優しかった日本軍の姿を残したかった。

その強さと優しさこそが,平成27年春の両陛下行幸啓時に現れた,パラオ共和国の親日の基礎となっていることも。

ペリリュー地区隊の指揮官だった中川州男陸軍大佐は熊本市出身だが,20代を中心とする有志によって墓前慰霊祭が始まって今年で5年目となる。

敗戦から70年間,とかくマイナス面ばかりが誇張歪曲の上で強調され,自らに流れる血を恥じるように仕向ける「材料」としてのみ利用されている先人達の真の姿を伝える「物語」を,明日への遺言として僅かずつでも残していけたら幸いだと思っている。