迎えの車が,低く垂れ込める冬雲の下を

潜り抜けて長く走り,やがて平べったいシルエットの社屋が

見えてきた。

招じ入れられた社屋では,どちらかというと青森の海から

陸に上がった毛蟹を連想させるような社主が迎えてくれた!?

この方は,九州の名門中の名門である菊池一族の末裔という

触れ込みだったが,阿蘇氏,菊池氏という著名な豪族の事は

知っていても,目の前にいる御仁が発するオーラからは,今ひとつ

英邁な勤王の一族の末裔といった雰囲気は伝わってこなかった。

事務所らしき部屋や,若い記者達が詰めている場所も全部が

コンクリート打ちっぱなしの床に様々な配線が乱雑に張り巡らされている。

一式で○○億円もしたんだと御自慢の輪転機も見せてもらったが

私としては,なんだか社員を大切にしているとは思えない感じだなあと

いう思いが先立ってしまい,社主の説明も上の空だった。