正課クラブというのがあって


 体育系と文化系それぞれに生徒は属していたが



 ある日,映画鑑賞クラブの教師が事務室に入ってきて,同僚から借りた


AVを手渡しながら「○○さん!とてもよかった」と嬉しそうに言うと,約束


していた新しいのを受け取り駐車場へと出て行った。



 彼はまた戻ってくると,よもやま話に花を咲かせていたが,そこへ女子生徒


が入ってきて「先生 今日の映画を家でも観たいので貸してください」と言った。



 「そう 先生の車の助手席に置いてあるから持っていきなさい」と彼は答えて


鍵を渡した。



 私がふと,もし取り違えたら生徒の家庭でエライ騒ぎが持ち上がるぞと思う


間もなく,ハッと気づいた彼は脱兎のごとく部屋を飛び出すと



 「おーい 待てえ!待て!止まれ~」と必死で叫びながら廊下を駆けて生徒を


追いかけて行った。



 タッチの差で事なきを得たらしいが,女性の同僚は「○○先生はまじめだか


らね~」と,わかったようなわからないような「解説」をしてくれた。



 「まじめな」のは彼に限ったことではなく,教頭も常連客?の一人だったし



 危ない妄想をたぎらせつつ生徒に接しているかと思うと,可笑しいやら心配


やらで私は複雑な気持ちになった。