平成が始まって6,7年目の,自衛隊が海外に出始めた頃だった。



 朝礼で,何やら「統一ロングホームルーム」なるものへの「協力」が


呼びかけられ,例によって例のごとくの「平和授業」があるんだなとわかった。



 事務室の真上が教室で,窓が開け放されていたから授業の様子は


よく聞こえた。



 毎晩遅くまで進路指導室で,セコく「生活費節約」のために頑張ってるフリ


をしている青年の声が時折響いて,生徒達は「自衛隊の海外派兵と日本の


過去の過ち?」について「話しあわされて」いる気配だった。



 私は,全国津々浦々で同じ情景が繰り返されていることを思い,しかもそれが


義務制から大学の教育学部に至るまで延々と続くことも考え合わせ,これでは


自らを護るために戦うことができない「ひよわな花」に日本がなるのも無理は


ないと暗澹たる気持ちになった。



 チャイムが鳴る数分前,ひときわ大きく声を張り上げた「節約君」は,「え~


みんないろいろ意見を出しましたが,ともかく日本には世界に誇れる平和憲法


がありますから,危険な軍事的手段だけは絶対に国際貢献に使ってはいけ


ないということを今日は学んでください」と言って締めくくった。



 これでは,危険な軍事的手段は他国に全部やってもらい,日本だけは国内の


最高法規でしかなく,しかも国民の道具にすぎない憲法を盾にそれを免れる


べきだと洗脳していることになる。



 つまりは,外国人が戦闘で死ぬのはしょうがないが日本だけはゴメンだ。みん


な頑張って武器を取ってね。 と言っているのに等しい。



 これで国際人養成とは聞いて呆れる と,私は税金を使って何十年も続けられ


る自己チュー洗脳教育を苦々しく思った。