中学校での仕事も5年間が過ぎた春、私は奄美地方の徳之島へ


転勤することになった。


 生まれて初めての離島暮らしに向かうし、ハブという毒蛇が住む島だと


聞くしで不安はあったが、農業高校という未知の世界だけに期待もあった。


 また、高校のある伊仙町という町では、保徳戦争と呼ばれた熾烈な町長選挙の


最中で、そういった意味でも目新しいことが多い歳月を過ごすことになった。


 これからは、美醜それぞれ、目にした人間風景を記憶に忠実に脚色を排して


綴っていこうと思う。