3年生最後の公式戦である夏の地区大会がやってきた。


 試合前のボール回しから、結局は優勝した相手校の動きは


すばらしく



 見守るわが選手達が圧倒されているのがよくわかった。



 相手チームが素振りを始めると、これまた見事なレベルスウィングで


まるでロボットのように統一された動きが安定した実力を感じさせた。


 

 試合が始まってみると、こちらのエースは最後の最後で悪い癖を


全部出してしまい



 フォアボールとデッドボールでランナーをためては狙い澄ました


ワンヒットで得点されるパターンを繰り返し



 処置なしと見て2年生の控え投手にはリリーフの準備もさせていなかったのに


自らマウンドを駆け下りてきて「替えてください!」と申し出たのには驚愕した。



 皮肉なもので、急遽マウンドに上がった2年生の方が意外と調子が良く


コールド差がついて安心した相手が強振に転じてくれたことも手伝って


1点しか与えずに試合を終えることができた。



 試合終了後、私の前に円陣を組んだ3年生達にかける言葉も見当たらず


「終わったなあ  帰ろう」と言うのが精一杯だった。



 種子島と屋久島、そして遠く南西諸島から吹いてくる南風に吹かれて


私達は秋の新人戦へと思いを馳せながらマイクロバスに乗り込んだ。