5月の連休に行われた地区大会に連れて行って


チームの力を目の当たりにすることになった。



 肩が強く、いい速球を放るのだがノーコンのエースと


一発狙いで強振ばかりする打線と



 四球や死球でランナーをためては狙いすましたクリーンヒットで


大量点といったパターンであえなく負けてしまい



 エンドランも送りバントもやられ放題で


まるで「パターン練習」のような試合だった。



 3年生にとっては最後の夏の大会までに総てを矯正することは


到底不可能なのは明らかで



 せめて少しは恥ずかしくない試合をするために、基本に返った練習を


根気よく積み上げながら、2年生以下の新チーム作りの構想を練ろうと


私は思った。



 でも、野球少年達の屈託のない笑顔と他愛ない会話に接する時間は


心洗われる思いがして



 陸上自衛隊式の躾を厳しく施しながらも、私の胸は彼らへの愛情で


温かく満たされていった。