ユニフォームに身を包んだ浅黒い顔がズラリと並んで大きな声で私に挨拶をした。


 丘の上を造成したグランドは沖からの南風が吹き抜けて気持ちよく、これまでの2


年間が室内競技だっただけに、明るい陽射しが降り注ぐ場所に立つと、日頃の国賊


相手のストレスが雲散霧消していく気がした。


 野球部の生徒達は、学校内での日教組と校長の対立をよく知っていて、多勢に無


勢と言うか、実質は味方ゼロで抵抗を続ける私にずいぶんと興味を持っているらし


かった。


 主立った保護者のほとんどが反日教組だったこともあり、私としては気兼ねなく


事の中で疑問に思うことや「教科書が教えたがらない歴史」にふれることができた。


 決して嫌いではない野球を共にやりながら、可能な限り生徒達が故郷と日本に


情を抱けるようにしてやろうと私は心に決めた。