いつのまにか、女子の卓球部の係を引き受けてから2年間が過ぎていた。
定期異動による人の入れ替わりで事情が変わってきて、私は今度は
野球部の顧問を依頼されることになった。
いろいろと気を遣う女子相手よりは気が楽になりそうで正直ホッとしたが
問題は、またしても経験が無くコーチを探さなければならないということだった。
なにしろ野球は小学校時代にキャッチャーをしていただけで、あとはずっと
柔道やボクシングだから縁がなかった。
誰でもルールがわかりそうでいて、その実すごく奥が深いのが野球だから
簡単なことではなさそうだった。
しかし、指導力に定評のあった顧問に率いられて一時は元気だった生徒達が
全く逆の「定刻に帰宅してから自分の健康維持のために走る」のが日課の
ヤル気ゼロの顧問に替わってから、見る見るうちに活気を失っていたのを
見ていたから
ここは何とかしなければという気持ちにはなっていたところだった。
コーチを探し、強い学校から指導法を学んで、なんとかチームを作って
みよう
私は、見捨てられたようになっていた野球部のために、少しでも力を
尽くしてみようと思った。