体育大会を明日に控えた夕暮れだった。



 準備がまだ終わっていなくて、16時を過ぎようという職員室で


教頭が「先生方、すみませんが手伝っていただけませんか?」と


繰り返し頼んでいた。



 仕事を命じるのに「すみませんが」も「いただけませんか?」も


ないもんだと、私は思わず一人で笑い、こんな国賊共に「先生方」


なんどとおだてるから、いつまでたっても税金泥棒がやまないんだ


よなと内心バカバカしくなった。



 校庭へ出て、終わっていない作業にとりかかってしばらくすると


17時のチャイムが鳴り始めた。



 早々と用務員室でダベっていた盗人連中は、さっさと車に乗り込むと


次々と校門から出て行った。



 残ったのは体育主任と教務主任のみ。



 教頭になる前のポジションである教務主任がポツリと


「人間見るよなあ~いっつもこっちは貧乏クジだ」とつぶやいた。



 生徒には常日頃から「仲間が困っている時にはみんなで助け合い


ましょう!」な~んてご立派なご託宣を垂れる奴らが見せつける醜態を


目の当たりにして



 メディアがひた隠しにし、あるいは極端に美化する公立学校とは


なんという醜さに満ちているのだろうと思った。