思いがけない金縛りとはいえ、不快さも恐怖もまるでない不思議な感覚に全身を
ゆだね始めた時
突然に瞼が開き、私は、鼻が接するほどになっている、抜けるように白い肌の
女性の顔を見た。
瞳は鮮やかなエメラルドグリーンに見え、重ねられた唇と絡められた舌からは
周囲に漂う芳香と同じで、一種名状し難い甘美な味わいが広がった。
動かせるようになった両腕を彼女の背に回すと、サラサラとした肌が感じられ
唇を放して髪の香りを吸い込むと、陶然とした気持ちが体の隅々まで心地よく
麻痺させていく気がした。
彼女が何も身にまとっていないのに気づいた。
私もまた、全裸になっていた。