職員朝礼のことを「職朝」といった。


 つまりは一日の始まりなのだが、これがことのほか遅刻が多い。



 勤務開始のチャイムが鳴り終えてからややあって


カチャリと職員室のドアが開き、「同和担当」の教師が小さく「すみません」と


言いながら入ってくる。



 教頭からも校長からも叱責は無い。



 しばらくは黙っているがすぐに 「いいですか?」と手を挙げて


口を尖らせると文句を並べ出す。



 曰く



 「勤務終了時刻にかかるように長引くことがわかっている行事を

   

  組むのは、我々には無いはずの超過勤務を強いるつもりか?」だの



 「用務員も教員も働く仲間のはずなのに、管理職の態度に職種差別が


  感じられる」だの


 「強いられた官製研修が増えているのは、我々の自主的な研修権の


 侵害に当たる」だのという



 実にしょうもない馬鹿げた言い草ばかりだった。



 この男は、教職員の勤務開始前から「朝自習」に取り組んでいる


生徒達から、遅刻して校門を入ってきたところを「遅刻だゾ~」と罵られるのを


 恥ずかしげもなく常態としていたが



  自分の怠業行為というか社会人失格を棚に上げて屁理屈だけは


 一人前以上にコネる人物だった。



 たいした「指導者」もいたものだが、こういった類の欠格者がウヨウヨと


棲息し、考えられないほどの好待遇にあぐらをかいて高給を国民から


盗み取っている異常事態が蔓延していることを思い知らされるのに


そう長くはかからなかった。