誉れの夏 7
憲法に代表される「戦後」に絞め殺されるのは時間の問題だ。
座して死を待つのはゴメンだし、奴隷的苦役とか罵られて黙ってるなんて腰抜けのすることだ。
政治の貧困を嘆くだけではダボハゼ役人にいいようにあしらわれるばかりなのに。
いくら初めての敗戦だったとはいえ、勝者に迎合し、絞首台へ送り込まれる昨日までの指導者達の姿に喝采し、被害者面を決め込んできた人々。
占領を脱してからでさえ、占領政策の撤廃を行わなかった不甲斐ない日本。
勝者の論理によって書き換えられた歴史と共にある限りは、醜悪なエセ民主主義国家との訣別など百年河清を待つようなものだ。
真の誇りを求めながらも、ひたすらに国安かれと祈りながら多くの隊員が黙々と耐えてきた。
物好きな騒動屋と夢想家達の悪口雑言と、おめでたい国防への無関心に耐え抜いてきた。
この寡黙な献身を、静かな期待を、政治は顧みることなく徹底して利用し続けている。
ヘルメットを叩く雨音に心を浸しながら、俺はこんなことを考えていた。