誉れの夏 4
日本は、自由と平和のために支払う代償をどう考えているんだろう?
俺の知らない時代に戦い破れた日本は、占領者の意のままに思想改造が行われるのを許し、哀れにも去勢されてしまった。
勝者の術中にまんまと嵌り、生存への意思がカケラもないほどに落ちぶれてしまったんだ。
危機管理ができず、国家戦略を持とうとせず、真剣に生き抜こうともしない。
だが、祖国においては、これは考える必要のない問題、一握りの「変わり者」が考えて歯軋りするだけの誰も気にも留めない問題ってことでなんとなく収まっている。
いい気な銭ゲバ共だ。アモンに魂を売り飛ばした護るべきあなた様か!
雨が落ち始めた。
稲妻が、抜き放った幾百もの輝く剣で夜空に斬りつけながら俺達の陣地を青白く照らし出す。いくつかのヘルメットと肩が、微動だにせずタコツボに入っているのが浮かび上がる。