滝の畔


 二人の間に割って入り込み、腰を下ろした重苦しい沈黙は、梃子でも動きそうもない強ばった表情のままで頑固さを増す一方だった。


 俺は、そっと彼女の腕を取った。


 振り払うかと思ったが、意外にも彼女は指先で俺の手を優しく撫でた。


 引き寄せると、いとおしい重みが肩に感じられ、ゆったりと安心しきった様子で彼女は俺に頭を預けていた。


 夜風が髪を波打たせて俺の頬をなぶるようにうねっていく。


 小さく息づく鼓動さえ手に取るように感じられる気がして、このまま二人が息絶えたなら、どんなに幸いなことだろうと思いながら、


俺は、自分がそんな追い詰められた感情に捉えられていることに心の隅で驚いていた。