滝の畔


「さては、初めから今日こそはあいつを抱くぞ~!って思っていたのね?」


心から楽しそうに和喜が言った。


「ねえ、私は継介に、何度もしつこく昔の女達のことを聞いてるけど、逆に私に同じ事を聞かないのはどうして?ひょっとして、嬉しいことに妬いてくれているとか?」


「そう!絶対に聞きたくないんだよ メラメラと妬けるからね」


笑いを含んだ声で、俺は冗談めかして言ったが、本当にそれは考えるのも嫌なことだった。


大人気ないのはわかり過ぎるほどわかってはいたが、どうしても嫌だった。

 

これまでのように簡単に割り切れないところに、和喜へ傾いた気持ちが現れていた。


そしてそれは、大人の遊びには禁物なことだった。