滝の畔


 バスルームで体を泡立ててからまもなく、引き締まった太股の内側に止まったダークグリーンの蝶のタトゥーに気づいた。


 背中から腕を回して、丸い張りのある乳房や、ふくらはぎを洗っていた俺の手が、蝶を包むように愛撫し始めると、彼女は瞳を細めながら


「継介は、こんなの好き?これまでの恋人にも一人ぐらいはいた?」と、少しかすれた声で聞いた。


「いないよ 素敵だね 生まれて初めてバスルームで女性に止まってる蝶を見た。困ったな、今日は初めて和喜を抱くんだから、なるべく優しくしないといけないと思っていたのに、ちょっと激しくなりそうな予感がしてきたよ。おまけに変な約束をさせようとするし」