滝の畔
「ねえ ちょっと休んでいこうよ」
滝を離れ、車がインターチェンジに近づくと和喜が呟くように言った。
「なんか私って今日は変だったね。泣いたりしてさ。いつもはあんなじゃないんだよ」
「泣きたい時は泣けばいいよ。危うく貰い泣きするとこだったけど」
と、俺はホテルへとハンドルを切りながら笑った。
部屋へ入り、ソファへ落ち着くと、ベッドへ仰向けになって煙草を吸い始めた彼女を見ながら俺はバスに湯を張り始めた。
紅茶を作ってテーブルに置くと、うつぶせになって灰皿を引き寄せた彼女は、煙草を消して起きあがり、いきなり弾みをつけてソファに飛び込むように座った。