滝の畔



「サンタマリア」というフレーズがリフレインするアップテンポな曲が、繰り返し大音響で市民ホールに流れていた。


 和喜が加わっているエアロビのチームが出る市民文化祭を俺は観に来ていた。

 

 客席のどこかに彼女の夫も来ているはずだった。


 俺は少し落ち着きの悪い妙な気分を、まるで締め心地の良くないネクタイを何度も結び直すようなもどかしさで持て余しながら客席に座っていた。

 

彼女の動きは最初からぎこちなく見えた。


 それはボクシングで言えば手打ちのようで、腰や肩の回転と、脚で後ろへ蹴り出す力が加わらない効果のないパンチのような感じだった。


リズムへのノリはもちろん良かったが、たぶんいつもはもっと、バネが弾けるように曲とひとつになって踊れる女なんだろうと思いながら俺は見守っていた。