『オレンジビーチ-スリーデイズメイビー』


 覗き込んで声をかけた敵を射殺するとトミーガンを奪った。


 積み上げた無人の砂嚢陣地から飛び出すと、斜め横を走り抜ける人影をめがけて一連射を浴びせて倒し、次の砂嚢陣地をめがけて走った。


 怒声と喊声が上がる方向へと黒いつむじ風のように走る。


 すばやくトミーガンを背負うと蛮刀を両手に持ち直し、出会い頭の敵兵に投げつけて倒した。


 再びトミーガンを構えた時、北村は自分に向かって青白い夜を貫いて伸びてくるたくさんの光の帯を見た。


 それは、輝く棒が次から次へと飛んでくるようで、彼は地に伏せると思い切り転がって避けようとした。


 曳航弾の掃射は執拗に続き、カービン銃の射撃がこれに加わった。


 転がりながら見上げた南の夜空に、北村は皆ともう一度見たかった南十字星が鮮やかに光っているのを一瞬見たように思った。


 ここが踏ん張りどころだ。


 日本軍人の意地を敵に見せてやるのは今だ!


 啓介 突撃だ。


 激しく撃ってくる方向にトミーガンで応射をし、全弾を撃ち尽くすと拳銃を抜いて立ち上がり、歯を食いしばって敵陣へと駆けだした。