『オレンジビーチ-スリーデイズメイビー』


 目の前で有線電話の呼出音が鳴っている。


 機関銃座が誰も出なければ、直に異変に気づいた増援がやってくるだろう。


 北村は手榴弾を2個取り出すとワナ線と結びつけて遺体に手早く仕掛け、動かすと爆発するようにした。


 なおもじりじりと進む。


 前方にもうひとつの機関銃座が見えた時、後方で人声がけたたましく響いたと同時に二度の爆発音がして、


にわかに陣地内は騒がしくなった。銃声が轟いて吶喊の声が遠くから聞こえたのは部下達が斬り込んだのだろう。


 照明弾が盛んに打ち上げられ、青白い光に周囲がますます照らし出されるようになってきた。


 前方の機関銃座で電話を取って大声で話している。斬り込みへの警戒警報が陣地内に回り始めたのだろう。


 これからだぞ!待ってろ!


 北村は残りの手榴弾を続けて前方の機関銃座へ放り込んで伏せた。


 鈍い爆発音と呻き声がして、敵の体が重なって崩れ落ちる。


 死体を踏み越えた北村は壕から飛び出して陣地線の背後へと駆け抜けた。


 銃声が轟くと足元に着弾の音が響いたが、転がり込んだ新たな砂嚢陣地は無人だった。


 頭上を飛び越えていく敵の気配がする。


 背後へ背後へと銃声が集中しているのは、二名の部下達を倒そうと陣地内がめくらめっぽうの射撃を続けている証拠だろう。


 今度は背後から仕留めてやるぞ。


 北村は息を入れた後、拳銃をケースから抜いた。