『オレンジビーチ-スリーデイズメイビー』 


                 第六章

 


ペリリュー周辺の艦艇群へ挺身機雷攻撃を実施せよとの命令が下り、沖 陽一兵長を長とする、糸満出身者ばかりの二十名の特別攻撃隊が編成された。

 

 中央高地帯の陣地から夜間密かに出撃し、北部ガドブス島の洞窟に隠されている機雷を目指そうとしたが、


 西海岸の道は総て敵陣地に固められて突破は困難で、海岸陣地に接近する際の銃撃戦ですぐに三名が戦死し、


 夜間行動のために友軍から刺殺される危険性もあり、沖 兵長は熟考の末に隊員が海岸近くで分散して海に入り各個に現地洞窟での集合を目指すに決した。

 

 十七名の隊員は、それぞれが密かに海に入るとリーフを迂回するように北を目指した。


 潮騒の音と香りは故郷の糸満と何も変わらない気がしたが、時折夜空に打ち上げられる照明弾の青白い光と、


 通過してゆく艦艇のエンジン音が、これから大事に臨む若者達の胸に締め付けるような緊張を呼び起こすのだった。

 

潜っては浮き、浮いてはまた潜る。探照灯の光の帯に捉えられないように細心の注意を払いながら、彼らは少しずつ北へと泳いでいった。



*機雷 → 艦船を沈めるために海上、海中等に設置される爆弾


      糸満の若者達は、機雷をロープで引きながら泳いで


      アメリカ軍艦船に接近し、自ら起爆装置を作動させて


      粉微塵に散っていった