『オレンジビーチ-スリーデイズメイビー』
青山少尉は硝煙と人間が焼ける臭いが漂う中、誰かが振り絞るような声で「畜生 畜生」と叫ぶのを聞いたように思った。
砲側は死体の山となり、残弾は無くなり、先ほどから近くに落とされる爆弾の破片で多くの部下達が傷つき倒れてしまった。
連続する轟音で聞こえにくくなった耳に微かに響く、接近してくる戦車のキャタピラ音で我に返った少尉は、敵機を支えていた空に今まで叫んでいたのは自分だったことに気づいた。
生き残った僅かな部下を素早く掌握して拳銃を握りしめると、飛行場を守備する友軍部隊と合流して歩兵としての戦闘を続行しようと少尉は決心した。
無線機は破壊され大隊長と交信する方法はなく伝令を出すこともこの状況ではもちろん不可能、
砲が使えなくなった今、有力な部隊と共に少しでも長く敵に出血を強要し続けることが重要だと少尉は判断したのだった。
「戦車をやり過ごして夜を待て」
「動くな 夜を待て 飛行場の部隊と合流する」少尉は低く鋭く繰り返した。