『オレンジビーチ-スリーデイズメイビー』




 棒地雷を抱いた兵士が水陸両用車のキャタピラの下に身を投げ出して粉微塵に吹き飛んだ。


 動けなくなった車両から海兵が飛び出して自動小銃を乱射する。


 やおらタコ壺から飛び出した兵士が銃剣で海兵を刺し、引き抜くと力任せに横に小銃を払って隣の海兵の首筋を斬った。


 後ろから海兵の太い首に片腕を巻き付けた兵士が脇腹に銃剣を柄まで突き通して共に倒れると、次の瞬間に戦車からの機銃掃射を受けて動かなくなった。


 無名小島の砲兵は間断ない砲撃を続けていた。


 艦砲の至近弾は受けたが、西海岸へ送り込む砲弾は小気味よいほどによく命中し、揚陸された資財と海兵を叩き続けた。


 青山少尉の速射砲は砲身が焼けてきた。


 砲側の兵士達も多くが倒され砲の操作を続ける要員が不足し始めていたが、大場伍長を始め生き残りの兵士達は懸命に砲身を冷却しながら撃ち続けた。


 日本軍のタコ壺とタコ壺の間隙に続々と浸透してくる海兵は、戦車と水陸両用車を先頭に自動小銃を乱射しながら喊声をあげて突進してくる。


 シャワーのように浴びせられる銃弾の威力はもの凄かったが、地区隊兵士達はボルトアクションの単発式小銃でよく応戦しながら白兵戦の機会を狙った。



*棒地雷・・→  日本軍は、離れた場所から装甲車両を撃てる歩兵


         携行可能な火器を持たなかったため、地雷を抱いて


         自らキャタピラへ飛び込むしかなかった。


*タコツボ →  地面に掘った一人用の穴 地面が胸の高さほどに


         なるように掘る。


*砲身が焼ける → 大砲も小銃も機関銃も、連続射撃をすれば砲身等


          が高温となり焼けてきて、放置すれば曲がって


          砲撃や射撃は不可能となる。


          だから、1丁の機関銃で1万人を撃ち殺した 


          などという「反省懺悔話」は、銃身交換や


          所要時間、致死所要弾数などから考えても


          与太話である。