波の葬列20


深夜に訪れた感情の波立ちを払いのけて、群がってくる冷たい横顔を見せる追憶達から急いで顔をそむければ、


そこには暗色の深奥から沸き上がって瞬時輝いたかと思うと早くも骸をさらす、冷めた青白い炎に包まれた情熱の数々が横たわっていた。


下卑て貪欲な自分自身の奔馬のような情欲と、それを狡猾に利用し尽くそうとして淫らに体を開いてきた多くの女達の痴態が、眼前に強烈な色彩を伴った嬌声を響かせながら毒々しく現れ、


どこからか


「何よ!その女だって結局は私達と同じだわ。いい大人のくせに馬鹿な夢ばかり見ちゃって」と、耳を覆いたくなるような悪意に満ちた嘲笑が強く耳朶を打った。


「私達の方がずっとイイわよ。それだけを楽しめばいいでしょう?でも嘘はね、一度ついたら最後までずっと上手につき続けるのが礼儀ってものよ」


とぎれとぎれに淫靡な幻達はそう叫んだ。


「いい?最後までよ!もしも彼女が目新しくて今は惹かれているのならね。せいぜいお粗末な体に飽きがこないうちに優しく別れてやることよ」


「そしてまた、私達に返ってくればどう?いつでも大歓迎するわ」


媚びるようなゾッとする剥き出しの情欲の響きを最後に女達の幻は消えていった。


この恋の行く先にもやはり光明はなく、果てもなく続く陽光とは無縁の道が、まるで臨月の女のように重たく苦しげに横たわっているだけなのだろうか。


俺はピュアでないものをピュアだと感じ、定められてもいないものを定めだと無理に思いこもうとしているのかもしれない。

 

彼女に贈ろうとする詩に投影された、息苦しい狂気に縁取られた心象風景に翻弄されるように、


妖しげで物悲しい破滅への誘惑を滲ませた夜の時間がしばらく俺を捉えて放さなかった。