重浪 明 (しきなみ あきら)とソウルメイト


                        蓮の花です(現代的写真館提供)


            何千年も前の種子から咲いた大賀ハスもありますし


            仏教との関係もあり、なかなか神秘的な花で美しいですね


                      

                    隼人の風86



ナース達の心尽くしの歌や精一杯の手品といった、ささやかではあっても心あたたまる出し物がひとしきり続いた頃、誰かがカセットレコーダーのスイッチを押してクリスマスソングを流し始めた。


すると部屋のドアが大きく開かれて、サンタクロースの衣装に全身をつつんだルーキーの医師達がどやどやと入ってきた。



みんなで思わず拍手をすると、真っ白な付け髭が浅黒い肌にひときわ目立つ、注射や採血がとても上手な小太りのルーキーが、軽く右手を挙げると中央に進み出てスピーチを始めた。



「みなさん 私はとても寒い国から鹿児島へとやってきました。もちろん大学病院で病気と闘いながら頑張っている皆さんへプレゼントを届けるためです」と、


彼が芝居気たっぷりなイントネーションで言うと、患者ばかりでなくナース達からもひときわ大きな拍手が起こり、部屋はとても優しい心和む雰囲気に包まれた。



この反応に嬉しそうな様子を見せた『小太りサンタ』がつい調子に乗って?!「私もこういう良い行いをしていると、ひょっとしたらここで可愛いナースのお嫁さんが見つかるかもしれません」と続けると、


間髪を入れずに「いいや まだまだ頑張って一人前にならないとそれは無理ネ!」と、バッサリ斬り捨てるような病棟婦長の声がして、それを聞いた彼が大げさな仕草でうなだれてガッカリしてみせた。



見ていたあの女の子が弾けるように笑って『牧童君』へ手を振るのが見えた。


私は、この場をいっぱいに満たしている「病む者と、救おうとする者との優しい調和」の空気に深く魅せられていく自分を感じて、


大学病院へ来てから初めてといってもいい『自らを取り巻く人々への親愛の情』を抱き始めていた。