ストックホルム症候群の衝撃
誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者についての臨床において、被害者が生存戦略として犯人との間に心理的なつながりを築くことをいう。
ただし臨床心理学における心理障害(精神障害)ではなく、心的外傷後ストレス障害として扱われる。スウェーデン国外のメディアが事件発生都市名、ストックホルムに基づいて報道した経緯がある。
連邦捜査局の人質データベース・システム(HOBAS)や『FBI Law Enforcement Bulletin』報告書によれば、犯人と心理的なつながりを示す根拠がみられる人質事件の被害者は約8%にすぎないという。
1973年8月、ストックホルムにおいて発生した銀行強盗人質立てこもり事件において、人質解放後の捜査で、犯人が寝ている間に人質が警察に銃を向けるなど、人質が犯人に協力して警察に敵対する行動を取っていたことが判明した。
また、解放後も人質が犯人をかばい警察に非協力的な証言を行った。
「人は、突然に事件に巻き込まれて人質となる。そして、死ぬかもしれないと覚悟する。犯人の許可が無ければ、飲食も、トイレも、会話もできない状態になる。犯人から食べ物をもらったり、トイレに行く許可をもらったりする。そして犯人の小さな親切に対して感謝の念が生じる。犯人に対して、好意的な印象をもつようになる。犯人も人質に対する見方を変える。」
その他の類似事件
よど号ハイジャック事件(1970年)ある乗客は、「北帰行」を歌って犯人を激励した。また、別の乗客は飛行機を降りる時に「頑張って下さい」と言って犯人を激励した。乗客と犯人には、奇妙な連帯感があったという。
パトリシア・ハースト事件(1974年)犯行グループによって誘拐された女性が、後にその犯行グループと共に銀行強盗の一味に加わっていたという事件。さらにその女性は犯行グループの一人と結婚したという。
この占拠事件においても、過激派と職員の間で友情が生まれていたそうだ。
この非現実な世界を体験することで恋愛感情が発展することは稀ではないとされる。
試してみる価値はありそうだ。