陸に上がった軍艦---映画監督・新藤兼人の戦争体験 | ブロッコリーな日々

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陸に上がった軍艦

---映画監督・新藤兼人の戦争体験

【公開日】2007年7月

監督:山本保博

原作:新藤兼人

出演:蟹江一平、滝藤賢一、大地泰仁、加藤忍、二木てるみ

 

95歳の映画監督・新藤兼人の戦争体験をもとにした実録ドラマ。

新藤が当時の様子を語るドキュメント部分を交え、軍隊の不条理をおかしくもせつなく描く。

 

 

舞台は、昭和19年、1944年春。

第二次世界大戦の戦況が連合国に有利に運ぶ中、シナリオライターであった新藤兼人に召集令状が届く。

 

広島県の呉海兵団に二等水兵として入隊した新藤は、同年6月に宝塚海軍航空隊に配属される。

同じように招集されたのは、農家、洋服屋、八百屋、理容師など仕事と家庭を持ち、一家の大黒柱として家を支える30代の男たちばかりであった。毎日のように同僚が次々と戦場に送られていく。

 

30歳を超えた招集同期の100人で、生き残ったのは新藤を含むたった6人しかいなかった。

新藤が配属された宝塚海軍航空隊では、もはや訓練をするような船は残っておらず、宝塚大劇場を接収した施設を軍艦に見立てての訓練が開始される。

 

予科練の少年隊員たちのため、掃除や洗濯をするのが新藤の主な任務だったが、それも一筋縄ではいかない。

軍艦の甲板掃除という想定で、宝塚歌劇の講堂をはるか年下の下士官にしごかれながら拭き続ける。

 

加えて「クズを兵隊にするため」という名のもと、志願兵である若い兵長から船上を想定した過酷な訓練を受けることになる。

18歳の兵長がビンタを食らわせる、「海軍精神注入棒」で殴る、失神したら水をかけるなど、今までの社会人としての生活は一切関係なく、容赦ない暴力が日常的に続く……

それが軍隊の生活であった。

翌年8月15日、新藤は上等水兵で終戦を迎えることになる。

 

脚本家 新藤兼人の戦争実体験。

彼は、一度も戦地に行くことはなかったけど、当時所属していた海軍での体験をまとめたものだ。

 

今では信じられないほどの理不尽な体験ばかりである。

終戦間近に行われていた訓練の滑稽なこと。竹やりで戦車に勝てると本当に考えたのだろうか。

当時の日本人は、全国民がバカになってしまったのか。

 

見逃した人には激しくおススメ。